ピアノ演奏「お上手ですね」どう受け取る?京都人の気質、文化を縦横無尽に語る

 文化庁の京都移転を機に、国際日本文化研究センター所長の井上章一さん、新内節奏者重森三果さん、
華道家・写真家池坊専宗さんが意見を交わした。
文化庁移転や文化政策のことだけでなく、京都人気質や文化・芸術論まで、さまざまに話が及んだ。

 井上 文化庁の方が京都にこられるとなって気になることがあります。
家族でこられる場合は、子どもたちが京都風の語り口を覚えると、東京の言葉と違う、みたいな衝撃を両親はうけないでしょうか。

 重森 私は江戸の浄瑠璃を勉強したとき、「なまるな」と言われまして。江戸の浄瑠璃を語るときは標準語のイントネーションで語ります。
江戸時代は今のように日本中が同じ言葉を認識するというような媒体、メディアがなかったので、
それぞれの地域がローカリズムを大切にして言葉に音をのせていました。
上方は上方の音の言葉の言い回しに節がのっているようなかたちで。
上方のうた、江戸のうたというふうにそれぞれの地域の独自性を大切にして、ずっと継承されてきてますので、
東京の保護者の方々にもそれぞれの地域のそれぞれのよい、美しい音を持った言葉をそれぞれ、お楽しみください、と言いたいです。

 池坊 どこが標準ということではなくて、それぞれ地域の魅力を発見しながらということですね。

 井上 京都風のなんていうか間接話法というんでしょうか。
私は40近くでピアノに取り組み始めたんですけど、近所の人に「お上手ですね」といわれるときがある。
普通の町なら、「いやたいしたことないですよ。中年からの学習ですから」ですむんですけど、
このまちでは「やかましくてすみません」と言わなくちゃいけないじゃないですか。
仮に本当に上手に聞こえたとしても「あんたちょっと

https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/994829