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KADOKAWAが埼玉・所沢のアニメホテル閉館へ

KADOKAWAが埼玉県所沢市の文化複合施設「ところざわサクラタウン」で運営していた体験型宿泊施設「EJアニメホテル」を5月31日で閉館すると発表した。サクラタウンは東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で起訴された同社元会長の角川歴彦被告が主導して整備した。事件発覚後、初めて同事業に大きなメスが入った格好だ。

ホテルは20年10月に全33室でオープンした。各部屋に150型の大型プロジェクターや音響、照明設備、ゲームなどができる専用スマートリモコンがあり、アニメの世界を演出。ホテル限定のオリジナルのキャラクターグッズも用意し、ホテル内のレストランでアニメをテーマにした料理を提供することなどを特徴に掲げていた。

同社は成田国際空港で19年に開業したアニメをテーマにした物販・飲食エリア「成田アニメデッキ」も6月30日に撤退すると発表。両施設とも開業以来集客に苦戦し、将来も収益確保が困難と判断した。

新型コロナウイルス禍が響いたとの見方もあるが、所沢市の経済団体幹部は「最近、サクラタウンの関係者からインバウンド(訪日外国人)が順調に伸びていると聞いていたので意外。ハイグレードな客室が多かったので価格の高さが影響したのでは」と話す。行政関係者は「客室数は多くはないが、日本にここだけにしかないホテルで観光の目玉になりえるものだったのに」と残念そうに語る。

同社はサクラタウンの運営は継続する。今度、ホテルに代わる施設の導入などに地元関係者の関心が向かいそうだ。