琵琶湖で原因不明のプランクトン増殖、財政難の京都市では水道の脱臭費用が3倍、5億円超

 琵琶湖で異臭を放つプランクトンが増殖し、飲用水を引く京都市の脱臭費用が3年前の3倍近い5億円超に急増している。財政難の中、プランクトンが増える原因はわかっておらず、市の担当者は「いつまで出費が続くのか」と頭を悩ませている。(梨木美花)
 
 水道水は法令に基づき、取水する自治体が有害物質などを基準に適合するように浄化して給水する。京都市の水道水の水源は99%が琵琶湖で、滋賀県外の自治体で唯一、湖から琵琶湖疏水を通じて直接取水している。
 
 特に市を困らせているのは、カビのような臭いがあるプランクトンの一種、フォルミジウムだ。市の水質検査では2019年5月、フォルミジウムが出す臭いの原因物質「メチルイソボルネオール」が25年ぶりに検出され、翌月までに水質基準(1リットル中10ナノ・グラム)の8倍超となる86ナノ・グラムに達した。
 
 市は市民からの苦情が多くなるとして、基準の半分以下の4ナノ・グラムに達した時点で脱臭効果のある粉末状の活性炭を浄水時に投入することにした。20年度の投入量は716トンで、調達費は1億8000万円だった。
 
 その後、春が中心だったフォルミジウムが冬場にも発生するなどし、22年度の投入量は1503トンに増加。調達費は4億3000万円に膨らんだ。輸送費の高騰などで23年度は5億2000万円と、20年度の約3倍を見込む。
 
 職員削減など財政再建に取り組んでいる市の水道料金収入は23年度、ピーク時の02年度より43億円少ない264億円の見通し。人口減少などで収入が減る中で支出が増える事態になっている。
 
 滋賀県内で最大の取水量の大津市でも活性炭の使用量が増え、22年度までの3年間で累計数千万円の費用増になるという。一方、大阪市など下流の自治体では、大きな影響は出ていない。支流の水が混ざることで、プランクトンの濃度が薄まるためとみられる。
 
 滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの藤原直樹専門員は「琵琶湖では、1970~80年代には水質の悪化による富栄養化でプランクトンが増えたが、近年水質は改善しており、増加の理由は特定できていない。当面、様子を見るしかない」と話している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/00e088c9e5c5947683bcdd03e5bcf324c5e66405