なくならない東京一極集中
バブル景気の時に盛り上がった遷都論がここまでしぼんでしまったのは、バブル崩壊の影響が大きいと思われます。遷都論や首都機能移転論の背景にあったのは、東京の異常な地価上昇でした。一時は「東京に家を持つことはよほどの金持ち以外は無理になった」とまで言われたのですが、バブルが崩壊すると東京の地価は大幅に下がり、「よほどの金持ち」でなくても住宅に手が届く人が増えました。

バブルの崩壊は、国や地方自治体の財政にもダメージを与えました。国会等を移転するために必要な費用は、審議会では97年時点で12兆3千億円と試算しましたが、ほかにも14兆円とか20兆円とかの試算もあり、多額の費用がかかることは間違いありません。財政事情が悪い中で多額の費用をかけてまで実施する必要性は感じられないという空気が強くなりました。

また、国会や中央省庁に勤める人の多くは、本音では東京を離れたくないと思っている節がありました。生活の便利さや子息の教育などから東京で暮らしたいという本音をわたしは何人かから聞いたことがあります。

https://news.yahoo.co.jp/articles/712c0320843d88de50efd6e54076bd4c43f7e373?page=2