日本のGDP(国内総生産)がドイツに抜かされようとしている。
すでに1人あたりのGDPでは台湾に抜かされ、韓国が日本を抜くのも時間の問題と言われる。
国内ではこうした事態に対して「ショックだ」といった反応が多いようだが、果たしてそうだろうか。
過去の経緯と日本経済の現状を知る人にとって、ドイツと順位が逆転したり、
台湾や韓国に追い付かれることは特段、驚くような話ではない。

ドイツは財政出動に頼ることなく、EUという自由貿易圏に依存することもなく、輸出を伸ばしてきたわけだが、
なぜそのようなことができたのだろうか。

それはドイツの工業製品に競争力があったからである。
競争力を単一の指標で定量化するのは簡単ではないが、輸出製品の価格を見れば、
マクロ的にはおおよその動向について把握できる。

ドイツの輸出製品の単価は戦後、一貫して上昇が続いているが、これは製品を毎年値上げしても
販売数量が落ちないことを意味している。
これに対して日本の輸出単価は1980年代以降下がる一方となっている。
日本は数量を維持するため値引きを余儀なくされている状況であり、こうした違いこそが
製品競争力の差ということになる。

高い競争力を持つ製品を輸出しなければ、輸出主導で経済を伸ばすことは不可能であり、
その点において日本はまだドイツに追い付いていないのが現実だ。
https://www.sbbit.jp/article/cont1/111058