グルメ漫画の巨匠に打ち切りの過去
<その3>『喰わせモン!』寺沢大介
『ミスター味っ子』『将太の寿司』『喰いタン』など、数々の名作を打ち出した料理漫画界の巨匠・寺沢大介。だが全てがヒットしたわけではなく、2001年に連載された『喰わせモン!』は短命に終わっている。
同作は神戸を舞台に、不良の空山海が天性の味覚で料理勝負へと挑むストーリー。おそらく致命的となったのは、空山の横暴すぎる振る舞いだろう。冒頭から少年鑑別所での出所シーンを見せつけ、ところかまわず暴力を振るう。また金にがめつい一面もあり、好感を抱く要素が限りなく少ない。
なお、話が進めば挫折を経て成長する過程が描かれ、全編を読んだ人からの評価は高い。ただ、序盤でふるい落とされた読者からは《ただの暴力が支配する料理漫画》《とにかく主人公の性格が悪過ぎ下品すぎで読んでいられなかった》《主人公がとにかくヤカラで怖いからあんまり…》と言われ、人を選ぶ作品となってしまった。
最近の漫画が尖っていればいるほど、SNSでネタになる確率が上がる。上記の3作品も、時代が違えば大ヒットの可能性を秘めていたかもしれない。

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