最もクルマが売れる国 米・中の状況は

 現在の世界で最もクルマの売れる市場は中国。そして、それに続くのがアメリカです。そして、その2大マーケットではセダンが人気となっていました。しかし、近年は、どうもアメリカや中国でもセダンの人気に陰りが見えているようです。

 アメリカの最近の販売ランキングを見ると、ベスト10の中でセダンは、実のところ、トヨタの「カムリ」しかありません。他はすべてピックアップトラックとSUVばかり。日本車だけでなく、アメリカ車でもセダンは売れていないのです。

 また、中国ではセダンが4割ほどを占めていますが、一方でSUVも着実に伸びています。急速に発展する中国では、初めて購入するクルマにセダンを選ぶことが多いようです。かつての日本でもそうでした。一方で、近年のSUVブームは日本だけでなく、北米や欧州、中国、アセアンなど世界的な規模で吹き荒れています。その風を感じた人が2台目のクルマを選ぶとき、「前回(セダン)とは違う車形」としてSUVを選ぶのは当然の流れとなるでしょう。

「グローバルカーとしてのセダン」という構図も今は昔?
 一方、欧州市場はどうかといえば、こちらは昔からセダンの人気はいまひとつ。現在の売れ筋は、コンパクトなハッチバックとSUV。ベスト10にセダンは存在しません。

 そしてアセアン。タイはピックアップトラックが強く、インドネシアはMPV(日本でいうミニバン)が売れているなど、国によって様子は微妙に異なります。

 とはいえ、世界全体を見渡してみれば、確実にセダンの販売は減少傾向と言っていいでしょう。また、同じ車種を世界各地で販売する「グローバルカー」という手法が万能ではないこともハッキリしています。オールマイティなセダンは、そうした「グローバルカー」に選ばれていた車種も多かったのですが、近年は、各地域の事情にあわせた車種を用意するケースが増えています。

 残念ながら、万能で、フォーマルで、グローバルなセダンはいま、生きづらい時代になっているのでしょう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2e3ee9f62b7a514beb9457748a3fad67dd0ccb5d?page=2