橘玲
イーロン・マスクやジェフ・ベゾスのように15兆円を超える個人資産をもつ大富豪も、わたしたちと同様に、1日は24時間しかありません。
お金は(理屈のうえでは)無限に増やすことができますが、時間をお金で買うことはできないのです。
社会がゆたかになるにつれて、ひとびとの関心はお金から時間へと移っていきます。
富裕層だけでなく、いまの平均的な若者も、ソーシャルゲームやサブスクの動画、オンライン漫画を楽しむのに、さほどお金を必要としなくなりました。
経済学の需要と供給の法則が教えるように、希少なものの価格は上がっていきます。
そしていまでは、お金よりも時間の方がずっと価値が高いのです。

仕事や家族・友人との関係だけでなく、わたしたちには趣味や勉強にあてる時間も必要です。
そのうえ最近では、「1日8時間睡眠」とか「1日1万歩の散歩」などが身体的・心理的な健康に重要なことがわかってきました。
これらのタスクをすべてこなそうとすると、時間がぜんぜん足りないのです。