彼の名はフランキー・ティアドロップ
はたちのフランキー
彼は結婚していた
子どももひとりいる
そして彼は工場で働いている
彼は毎日,朝7時から夕方5時まで働く
そう,ただ生きのびるためだけに

フランキーの話を聞いてくれ

フランキーはもう,どうすることもできなくなった
なぜなら状況はあまりにもきつすぎる
フランキーは満足に稼ぐことができない
フランキーは満足にめしも買えない
フランキーは家賃も払えず立ちのきを迫られている

フランキーの話を聞いてくれ

フランキーはやけになっていた
やるしかない
フランキーは銃を手にとった
ベビー・ベッドですやすや眠る
生後6カ月のかわいい子ども
その小さな頭に照準を合わせる

背後で泣き叫ぶ女房
ふり向きざまにもう一発
あたり一面血の海だ
おれは何をやってるんだ
いったいどうしてこんなことになってしまったんだ

フランキーの話を聞いてくれ

フランキーの涙
フランキーは自分の頭に銃をひっつけた
フランキーは死んだ

だが,それで終わったわけではない
フランキーは地獄で苦しみつづけるのだ
おれたちはみんなフランキーだ
おれたちはみんな地獄にいるのだ