オランダ国境に近いドイツ北西部ニーダーザクセン州の都市リンゲン。
商店街のある中心部から車で数分走ると、雑木林の向こうに約150メートルの冷却塔から立ち上る白い水蒸気が目に入った。
ドイツで稼働中の最後の原発3基の一つ、エムスラント原子力発電所だ。

 「このために何十年も闘ってきたので、ここまで来られてうれしい」。
リンゲンの反原発団体幹部のアレクサンダー・フェントさん(53)は感慨深げだ。
東京電力福島第一原発の事故を受けて安全への懸念が高まり、
「数十人規模だった原発反対デモの参加者は、福島の事故直後には千人規模に膨らんだ」という。

 エムスラント原発以外に稼働中なのは南部バイエルン州のイザール原発、南西部バーデンビュルテンベルク州のネッカーウェストハイム原発。
3基とも15日に停止し、2011年3月の東京電力福島第一原発事故を受けて進めてきたドイツの「脱原発」が完了する。

https://www.asahi.com/articles/ASR4F5V9YR4CUHBI00F.html