プロローグ
薄暗い物置と化したとある部屋の片隅で、私は「エルシー」と再会した。あれから、どのくらい経っただろう。
10年、15年、いや、もっと長い年月が流れたように思う。
しかし、彼女はまるで主が必ず帰ってくることを確信していたかのように、凜とした表情でこちらを見つめていた。
次の瞬間「ジャーン」というおどけた声とともに彼女は笑顔になり、そして安堵する私に向かって一言。
「遅かったですね、ご主人様。おなかがへったのでピザぜんぶ食べちゃいましたよ。あ、リンゴをかじったのは私じゃないですからね。」
これは、エルシーとの再会から復活までの物語である。

Macintosh LC(初代LC)は、アップルコンピューターが1990年に発売したパソコンです。CPUにMC68020(16MHz)を搭載、
カラー表示できるMacintoshとしてもっとも低価格な機種でした。一説によるとLCは「Low cost and Color」の略とも言われています。

当時、アップル製品の国内販売はキヤノン販売が手がけ、実機に触れられる店舗として「01(ゼロワン)ショップ」を全国展開していました。
もちろん地元にも01(ゼロワン)ショップがあり、足繁く通った結果、手に入れたのがこの初代LCでした。
購入の決め手は、そのキュートなスタイル。ピザボックスと呼ばれる薄型の本体と、その幅ぴったりに収まる12インチRGBディスプレイの組み合わせは抜群。
緩やかにカーブしたフロントに六色の虹色リンゴ&ロゴ、FD挿入口と一体となったライン、ちょっとだけ上を向いた姿など推しポイントだらけ。

その後、比較的短い期間でLC II(1992年)、LC III(1993年)と世代を重ねていきます。
それだけこの分野が目覚ましい勢いで進化していたと言うことですが、初代LCのユーザーとしては毎年悔しい想いをしなければならず・・・。
だったのですが、なんと初代LCがLC IIIになるロジックボードのアップグレードという嬉しいサービス(有料)が提供されました。
優しい!これには迷わず申し込みました。戻ってきたときには、ケースフロントのロゴもしっかり「Macintosh LC III」に。CPUはMC68030(25MHz)になりました。

そんなわけで、初代LCは手元になく、上の写真は「Macintosh LC III」なのです。デザインにもほんの少しだけ手が加えられ(洗練され)、
LC IIIが自分史上もっともお気に入りなデザインとなりました。今もなお。

パソコン通信(ニフティサーブ)やインターネット、ゲームなどに大活躍だった初代LC、LC IIIでしたが、いつしか部屋の片隅で鎮座するように・・・。

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https://sanuki-tech.net/and-more/images/macintosh/lc-iii-restore/lc-iii-restore-01.jpg
https://sanuki-tech.net/and-more/2022/macintosh-lc-iii-restore/