https://www.bbc.com/japanese/65271731

21歳の空軍州兵を逮捕、米国防総省の機密文書流出

米国防総省の機密文書が多数流出した問題をめぐりメリック・ガーランド司法長官は13日、21歳の空軍州兵を逮捕したと発表した。

マサチューセッツ州の空軍州兵のジャック・テシェイラ容疑者は、マサチューセッツ州ボストン近郊にあるダイトン(人口約8000人)の自宅で逮捕された。現場上空からの映像では、テシェイラ容疑者と思われる青年が両手を挙げ、武装した連邦捜査局(FBI)の捜査員に後ろ向きに歩きながら近づく様子が見える。そのまま手錠をかけられ、車両に乗せられた様子。

テシェイラ容疑者は、空軍州兵の情報部門に所属。機密文書の流出先となったオンラインのゲーム・チャットグループのリーダーだったとされている。空軍州兵は米空軍の予備部隊に相当する。

米当局筋によると、機密指定された防衛文書の送信を禁止するスパイ法違反の疑いで訴追される見通し。ボストンの裁判所での初出廷は14日の予定。
流出した機密文書には、ロシアによるウクライナ侵攻に関する最高機密指定の内容をはじめ、韓国などアメリカの同盟諸国の情勢、アメリカの国防上の機密などが含まれていた。

BBCがアメリカで提携するCBSニュースが入手した記録によると、テシェイラ容疑者は2019年に空軍州兵に入隊。階級は比較的低い位の1等空兵で、ネットワークの保守・管理担当者としての肩書がついている。

ガーランド司法長官は、捜査の状況や情報を流出させた動機について、詳細は明かさなかった。

ホワイトハウスがCBSに説明したところでは、ジョー・バイデン大統領は訪問先のアイルランドで、テシェイラ容疑者の逮捕について説明を受けたという。

なぜ機密にアクセスできたのか

国防総省報道官のパット・ライダー准将は別の記者会見で、今回の文書流出は「意図的な犯罪行為」だと述べた。

なぜ国防関連の機密文書に若い空軍州兵がアクセスできたのかと問われると、米軍では軍人に「非常に早い時期から多くの責任」を負わせていると、ライダー氏は説明。

「例えば戦闘小隊の若い軍曹には、部隊を戦闘に導く責任と信頼を託している」と述べた。

テシェイラ容疑者と高校が一緒だったというエディ・スーザ氏(22)は、同容疑者の逮捕に驚いているとロイター通信に話した。

「彼はいいやつで問題児ではないし、静かな男だ。子供っぽいばかなミスみたいだ」

流出文書の中身
数カ月前から50〜100点以上の機密文書が、ゲーム愛好家に人気のソーシャルメディア「ディスコード」に投稿されていた。

BBCは現在、それらの文書を分析中だが、ウクライナでの戦争に関するさまざまな機密情報や、アメリカの同盟国を含む国々に関する機密情報が含まれている。

国防総省の報道官は、流出の規模や影響を引き続き調べると述べた。

下院情報委員会のマイク・ターナー委員長(共和党)は、「なぜこのような事態になり、何週間も気づかれなかったのか、そして今後の流出をどう防ぐのかを検証する」と表明した。