「共同親権」に離婚トラブル経験者が不安を抱く理由とは 法制審部会が制度導入を前提に議論へ

 法制審議会(法相の諮問機関)の家族法制部会は18日、離婚後も父母がともに子の親権を持つ「共同親権」の導入を前提に議論に入ることを確認した。共同親権には、ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待から逃れにくくなるとの反対論が根強いことから、話し合いによる協議離婚で父母が「真摯しんしに合意」した場合を想定。対立時の対応は議論を続ける。父母が協力して子育てしやすくなるとの期待がある一方、離婚時に配偶者とのトラブルを経験した人らからは懸念の声も上がる。(大野暢子)
◆「離婚の条件として合意迫られるのでは」
 「共同親権を導入するというニュースを見て、がくぜんとした」。離婚後、2人の子を育てている40代女性は19日、動揺を隠せない様子で語った。
 元夫は、ささいなことで激高し、ギャンブルに1日で数百万円を使い込むこともあった。女性が別居を提案すると連日、深夜まで「おかしいのはおまえだ」「俺ぐらい稼いでから言え」と罵倒された。恐怖を覚え、元夫の外出中に脱出。裁判を経て数年前に離婚が成立した。「対等に話し合える関係ではなかった。離婚に応じる条件として、相手から共同親権への合意を迫られる人も出てくるのでは」と心配する。


東京新聞 2023年4月20日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/245078