公判はひっそりと続いていた。
就職活動中の女子大学生や女性会社員らに対し、睡眠作用のある薬物を飲ませて性的暴行を繰り返していたとして起訴されている
リクルートコミュニケーションズ(現在はリクルートに吸収合併)元社員、丸田憲司朗被告。

最初に逮捕されたのは2020年11月、30歳のころ。
知人である30代女性に対し、睡眠作用のある薬を入れた酒を飲ませて性的暴行に及んだという準強制性交等容疑だった。

逮捕はこの一度では終わらず、翌月にも同容疑で逮捕となる。就職活動中だった20代女性に2020年7月、同様の手口で性的暴行を加えたというものだ。
女性とは、就活中の学生が企業に勤める社会人と情報交換できる就活アプリで知り合った。

その後も逮捕は続いた。
10回の逮捕を経て、最終的に丸田被告は準強制性交等、住居侵入、準強姦、準強制性交等未遂、準強制わいせつで起訴された。被害者は10名。

手口は共通しており、飲食中に隙を見て被害者の飲み物などに睡眠薬を混入させたうえ、抗拒不能となった被害者に対し、性交やわいせつ行為に及んでいたとされる。
犯行時の様子を動画撮影しており、このとき被害者の身分証も記録していた。

東京地裁で初公判が開かれたのは9度目の逮捕直前である2021年8月31日。公判は捜査と並行して進められていた。

そんな初公判から1年以上が過ぎ、今年2月7日。ようやく被告人質問が行われた。長い時を経て、裁判長も替わっていた。

「記憶がない」などと罪状認否で主張していたはずの丸田被告は、被告人質問で突如、起訴事実をほぼ認めたのだった。

自身の歪んだ性癖が形作られた経緯も次のように説明した。

「最初の会社に入ってから、職場で……悩み事があり心を病んでしまったので神経内科に相談しました。
そこはいい加減な病院で、薬を多く出したり、院長が歌っている謎のCDを制作して配るような病院でした。
処方された向精神薬の副作用……興奮で眠れず、不眠がひどくなり睡眠薬を処方してもらうようになりました」

被告が言うには、処方してもらっていた薬の副作用で不眠、食欲不振、性欲が抑えられないなどの症状が発生していたのだそうだ。

特に性欲については「仕事中に気がついたら何時間もトイレにこもり、自慰行為をしていたり、夕方ごろに自慰行為をすると気づくと朝になっていた」など、異常さを感じていたと明かす。

だが、仕事に差し障るほど性欲を持て余していたにもかかわらず、薬は「飲むのを止めるとベッドから起き上がれなくなるので止めなかった」という。
(以下ソース)