米英外交官ら脱出 「停戦」切れ前に各国退避加速―首都などで交戦続く・スーダン

 【カイロ、ワシントン時事】米政府は22日、正規軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の衝突が続くスーダンから米大使館員と家族ら100人弱が退避したと発表した。米軍のヘリコプターで脱出した。
スナク英首相も23日、英外交官と家族の退避完了を明らかにした。
スーダンでは72時間の「停戦」期限切れが24日午前(日本時間同日午後)に迫り、日本など各国が準備を進める自国民の避難は時間との闘いとなっている。

 バイデン米大統領はツイッターで「私の命令により、米軍が政府関係者を救出する作戦を実施した」と表明。
米政府高官によると、現地時間23日に米軍の特殊部隊100人程度を投入し、周辺国ジブチへの脱出作戦を行った。米政府はこれに伴い、スーダンでの大使館業務を停止した。

 ただ、空港が利用できないほか、出国のための陸路も閉ざされているとして、駐留する米民間人の退避活動のめどは立っていない。
スーダン軍トップのブルハン統治評議会議長は22日、中東のテレビ局アルアラビーヤに、首都ハルツームと西部ダルフール以外では軍が空港を掌握していると主張。ハルツームの国際空港はRSFの管理下にあるとみられる。

 フランス外務省と国防省も23日、仏外交官および仏国民の緊急退避作戦を発表。ドイツメディアによると、独軍の輸送機も現地に到着し救出活動を始めた。
スーダン軍とRSFは、退避の際に相手側の攻撃で仏人1人が負傷したとの声明をそれぞれ出したが、負傷者の有無を含め真偽は不明。カナダ政府は23日、スーダンでの業務一時停止を決定した。

 サウジアラビア外務省も22日、外交官ら157人がスーダンからサウジ西部ジッダに到着したと明らかにした。サウジ人91人に加え、アラブ首長国連邦(UAE)やインド、カナダなど計12カ国の66人が脱出したという。日本人は含まれていない。

 サウジのメディアによると、157人はハルツームから直線で約670キロの距離にある紅海に面した東部ポートスーダンに陸路で移動し、対岸のジッダへサウジ海軍の艦艇で渡った。ヨルダン外務省も、同国人約300人の退避を開始したと明かした。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023042300121