境界知能やグレーゾーンとよばれる子どもたちは、「発達障害」や「知的障害」というはっきりとした診断があるわけではありません。そのため、問題や課題が周囲に気づかれにくい、または、気づかれたとしても、本人のやる気のなさや努力不足、としてとらえられてしまうことが多いです。 例えば、この境界知能に該当する人は、定義上全人口の約14%います。つまり、1クラスの人数が35人の場合、約5人が境界知能に該当するという計算になります。境界知能の子どもだけでも、これだけの子どもたちが、何らかの支援を必要としているにもかかわらず、現在は診断がないために特別な支援の対象とはなっていません。 ちなみに、「IQ70未満」という知的障害の定義は1970年代以降のものです。1950年代の一時期は知的障害は「IQ85未満」とされていました。しかし、IQ85未満では知的障害のある人が全人口の16%もいることになり、これでは人数が多すぎて支援が追いつかないということで、知的障害の定義がIQ70未満に引き下げられたという経緯があります。しかし、定義は変わろうとも、IQ70~84の人たちが知的障害のある人と同様の、もしくはそれに近い「しんどさ」を抱えているのはまぎれもない事実です。
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