「もはやラーメン屋が本業とも言える状態だった」
 ただ、警察幹部や暴力団関係者らは、今回の殺人が抗争の一環であるという見方には否定的だ。

「抗争自体はほぼ結論が出ている。山口組側によるここ数年の攻勢で、神戸山口組はボロボロ。中核だった二次団体・山健組が離脱してからほとんど壊滅寸前だ。一連の事件でも、相手を殺害にまで追いやってきたのは全て山口組側。今回の事件が神戸山口側による『返し(仕返し)』とは思えない」(警察関係者)

 事件の背景は、全く別のところにあると話すのは元山口組関係者だ。

「ラーメン店の経営は暴力団にとっても人気のシノギ。とはいえ余嶋組長は自分でも店に立ち、自宅も店の上階にあった。もはやそっちが本業とも言える状態だった。抗争の中でそんなイチ組長を狙う理由はなく、むしろラーメン店主になった経緯にこそ事件の理由があるのでは」
この関係者によると、ラーメン店を開業する前から湊興業は上納金の支払いもままならいほど「金欠」だったという。

「ずいぶん昔から湊興業が弘道会の会費を滞納しているという話はあった。組事務所を開いたときに貸し付けられた3000万円の返済も滞っていて、組長本人はヤクザとして生きていく気持ちがなかったのではないかとも。2020年に逮捕された事件では、受け取ったのも10万円。それもラーメン屋の調理器具を買うのに使ったと聞いている」

 だが、辞めたいと言って「はい、そうですか」とはならないのがヤクザの世界でもある。この関係者が推測するのが、今回の事件が「落とし前」や「個別のトラブル」だった可能性だ。

「拳銃を使った殺しは重大だ。警察も本腰を入れて捜査をするし、実行役は捕まれば無期懲役もあり得る。組織の上にまで捜査の手は延びるだろうし、そんなリスクを背負ってまで狙うほどの標的でもない。犯人は金銭トラブルなどを抱えた、もっと短絡的な相手だったのではないか」

《神戸ラーメン組長銃殺》「弾は貫通せずに頭に残っていた…」裏の顔はヤクザの人気店店長が抱えた「金欠」と「借金」と「黒ずくめの男とのトラブル」(文春オンライン) - Yahoo!ニュース
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