NHKの受信契約、1~3月に急増 「割増金」導入前に駆け込みか

 NHKの受信契約件数が、1~3月で11万件増えた。26日に公表した2022年度の第4四半期業務報告で明らかになった。昨年4月以降、想定以上のペースで契約数の減少が続いていたが、今年4月に、テレビがあるのに受信契約をしない世帯などから受信料の「割増金」を請求できる制度をNHKが導入したことから、直前に駆け込み契約が起きたとみられる。

 NHKは営業経費削減のため、戸別訪問をやめ、インターネット広告や郵送で契約を呼びかける形に転換。新たな営業手法が定着するまでは契約が減ると想定し、22年度は年間で10万件の減少を見込んでいた。

 ところが、昨年4~9月の半年間で約19万8千件と想定を超える減少となり、10~12月にもさらに2万件減ったことから、今年1月に公表した23年度予算の資料では22年度の減少見込み数を43万件としていた。

 一方、昨年10月に施行された改正放送法で割増金制度が新設された。受信料を不正に支払わなかったり、テレビ設置の翌々月末までに契約しなかったりした人に、NHKが受信料の2倍の割増金を上乗せして請求できるようになった。今年1月には、改正を受けたNHKの新たな放送受信規約を総務省が認可。あるNHK関係者は「割増金制度についてメディアが相次いで報じ、そのアナウンス効果で契約が促されたのだろう」と話す。最終的に22年度の契約件数は前年度比10万7千件減にとどまり、4144万件となった。

 NHK経営委員会の森下俊三委員長も、25日の委員会後の取材に「割増金の問題もあるが、営業サイドもいろんな施策を打って、その成果が出ているのかと思う」と分析していた。

 NHKの稲葉延雄会長は、19日の記者会見で「NHKの公共的価値や事業そのものをご理解いただいてお支払いいただくのが本道。形式的に割増金制度を適用するのではなく、ご事情をよく聞いて、NHKの状況をご理解いただくことを優先したい」と、慎重に運用する考えを示した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/79aeb55e06f9e4afc872238523621963bbe6a9e8