厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が26日発表した「将来推計人口」で、6年前の前回推計よりも出生数の減少ペースが加速することが鮮明になった。
安倍政権が掲げた「人口1億人程度」を維持するという目標は、既に消滅。岸田政権は「異次元の少子化対策」をうたっているが、人口減を前提にした近未来の社会像を示さず、視界は不良だ。(井上峻輔)

◆外国人が人口下支え
今回の推計は、現在は総人口に占める割合が2%台にとどまる外国人が増え続け、66年には10%に達するという数値をはじき出したのも特徴だ。少子化による人口減を下支えする構造になっている。
推計には近年の増加率の上昇が反映されているが、人口問題に詳しい日本総研の藤波匠氏は「労働力としての外国人は国際的な獲得競争になっている。日本に来てくれるのか。処遇改善などが必要だ」と指摘。
「10人に1人が外国人という社会は、かなり議論を呼ぶ数字だ」とも話した。

少子高齢化は加速度的に進む。子どもだけでなく、日本経済や社会保障制度の担い手である15?64歳の生産年齢人口も減っていく。外国人の受け入れを含め、どんな社会を目指し、手を打っていくのか。少子化対策にとどまらず、議論は待ったなしだ。
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