「なぜ、押し続けた」怖がる息子の自転車を踏切へ 電車衝突死から8年、解けぬ母の苦しみ 出所後の元少年から初の手紙

「怖い」と叫ぶ声を聞きながら、なぜ押し続けたのか-。
兵庫県尼崎市内の踏切で2015年3月28日、高校1年の山内美輝さん=当時(16)=が、
乗っていた自転車をオートバイで並走する元少年に押され、電車に衝突死させられた。

事件から8年が過ぎた今年3月、元少年は刑務所を出て、遺族は動向を把握できなくなった。
命日には手紙が届いたというが、美輝さんの母(60)の問いに対する答えは返ってきていない。

事件は15年3月28日夕、尼崎市のJR宝塚線の踏切で起きた。
当時16歳の元少年は無免許でオートバイを運転し、美輝さんの自転車を足で押して時速49キロ前後で並走。
途中で突き放し、遮断機の降りた踏切に進入させた。美輝さんは通過電車にはねられ、命を落とした。

元少年は傷害致死などの罪に問われ、裁判では美輝さんが大声で「怖い、怖い」と繰り返す中で、自転車を押したとされた。
16年12月、神戸地裁で懲役4年以上6年以下の不定期刑の判決が言い渡され、その後確定した。

美輝さんの両親は損害賠償を求めて提訴し、19年4月、元少年と母親が賠償金を分割で37年間支払い、
毎年命日に現場で追悼し、遺族に手紙を送る-との内容で、神戸地裁尼崎支部で和解した。

美輝さんと元少年は中学の同級生だったが、美輝さんの母は「顔は知っているけど、友達ではなかった」とする。

事件前に何があったのか。当時、美輝さんと元少年を含む5人がいて、商業施設から踏切近くの公園に移動していたとされる。
元少年は「早く着こうと思った」と説明したというが、他の3人は事件に至った経緯を話さず、真相は「分からないまま」という。

先月28日、元少年から出所後初めて手紙が届いた。元少年は家裁の少年審判や地裁での刑事裁判で
「起きたことは仕方ない」「傷つける思いはなかった」などと語り、
「被害者に嫌がるそぶりはなく、承諾があった」と主張していた。

元少年は成長し、顔や体つきが変わったかもしれない。近くに住んでいる可能性もある。
本当に更生しているのか。
「出所後も定期的に刑務所で教育を受けさせるような制度が必要ではないでしょうか」
https://news.yahoo.co.jp/articles/e982163fce86929bba7e783df52e95390e35dbc8