配信サービス利用者も受信料義務化

 ――BBCはどんなインターネットサービスを提供していますか

1990年代半ばからウェブサイトを開設し、2007年からは動画配信サービス「BBC iPlayer(アイプレーヤー)」で本格的に番組の無料見逃し配信を始め、現在も続いています。
他の欧州の国でも同様のサービスがあります。「放送局なのになぜ番組の配信業務に取り組んでいるのか」という議論自体が、何年も前に無くなっています。
BBCの会長は昨年5月、「今までは放送に力を入れすぎたので、これからはデジタルの配信にもっと力を入れたい」と表明しました。
規制や監督の在り方も変わり、消費者側の実際の利用も変わっていますし、その両輪で進んでいる印象です。

 ――NHKも有料の番組配信サイト「NHKオンデマンド」を08年、受信契約者向けの無料の同時配信と見逃し配信のサービス「NHKプラス」を20年に始めています。
    NHKのネット事業が仮に本来業務となった場合、現在のようにテレビを持つ人が支払う受信料を財源にして良いのかという点も議論されています

BBCのiPlayerの財源はBBCの受信許可料(以下、受信料)です。サービスが始まった当初はNHKと同様、テレビ受信機の有無とひもづいていたのですが、
メディアの利用環境が変わり、テレビではなくパソコンやスマートフォンで受信料を払わずにiPlayerを視聴する人が増えてきましたので、
16年からはテレビを持っていなくてもiPlayerを利用する人には支払いを義務づけることになりました。
BBCがネット視聴でも支払いの義務付けを望んでいたのには、別の理由もありました。
08年の世界的な金融危機で、BBCは受信料を10年ほど凍結することになっていました。
インフレ率が年2、3%ですから、実質的には収入が目減りして苦しくなっていたんですね。
ネットの視聴者からも受信料を取ることで収入が増加したのです。

https://www.asahi.com/articles/ASR4L5DFJR43UCVL04T.html