https://www.sankei.com/article/20230501-YJM4LHQGU5PXDE6JXLAXUG5OKM/
刃物を手に店員を脅し、現金を奪うコンビニ強盗。かつては頻発していたが犯行の様子が店内の防犯カメラで記録されることから、犯人逮捕につながりやすく、全国ではこの10年で6分の1にまで減少した。発生件数は右肩下がりとなっており、〝過去の犯罪〟にもなりつつある中で、今年は大阪府内で激増している。発生件数は4月時点ですでに昨年1年間の7倍以上。かつては発生件数が全国ワーストだったこともあるが、捜査幹部は「カメラの精度も高く、まず逃げられない。増える理由が見当たらない」と首をかしげる。
大阪府内では今年に入り、コンビニ強盗が急増している。現金を奪えなかった強盗未遂事件も含めると、4月末までに15件発生しており、過去5年間の平均件数をすでに上回っている。昨年は1年間でわずか2件(速報値)で、新型コロナウイルス禍以前の令和元年も年間9件だったことと比較しても異常なペースだ。
今年の急増の背景には何があるのか。防犯ジャーナリストの梅本正行氏は、新型コロナ禍が終わりに向かっていることが一因にあると分析する。「社会が不安定な状態になると犯罪が増えるが、コロナ禍では社会活動そのものが停滞していた」と指摘。その上で「社会活動が再開しても、金銭的な困窮が続いた犯人が〝やけっぱち〟になり、相次いで強盗に走っているのではないか」とみる。
府警が今年に入って逮捕した容疑者の多くは、「所持金がなくなった」「家賃を数カ月滞納していた」などと供述し、経済的な困窮が動機だと説明している。

コンビニ強盗は犯人側にとっては逮捕のリスクが高いが、梅本氏は「コンビニは犯行のイメージがたやすいのだろう。犯罪者は、自分だけよければいい、今だけよければいい、金だけがほしい、『3だけ』で動く。捕まるリスクなんて考えていない」と話す。