ChatGPT、学習で大量CO2 AIと温暖化「不都合な真実」

 画期的な性能で世界的に注目が集まる「ChatGPT(チャットGPT)」など生成AI(人工知能)が、地球温暖化問題には悪影響を与えるかもしれない――そんな報告書を米スタンフォード大が4月に出した。AI開発に使われる大量の電力による二酸化炭素排出量は、米国人の1年あたりの排出量の何十倍にもなると指摘。開発競争が激化する中、電力需要への対応や二酸化炭素の排出が少ない電源の確保が重要になりそうだ。

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 生成AIは、入力された大量のデータを解析し、出力する。より精度の高いAIを開発するためには、多くのパターンを学習させて、優れたデータ解析ができるようにする必要がある。これには大規模なサーバーが必要になり、それを支えるデータセンターが大量の電力を消費する。

 スタンフォード大のAIに関する研究所の報告書では、すでに発表された研究から、オープンAI社の「GPT―3」やディープマインド社の「ゴーファー」、メタ社の「OPT」など四つの生成AIの学習に使われたとされる電力消費量を比較。最多はGPT―3が1287メガワット時で、最少のOPTより約4倍だった。

 電力消費量を元に排出された二酸化炭素を計算すると、GPT―3は502トンと推定された。米国人1人の1年の排出量18・08トンの約28倍という。ニューヨークからサンフランシスコまでの飛行機が往復した場合の乗客1人あたりの排出量0・99トンの約507倍だった。

 報告書は「AIの学習に必要なエネルギーが環境に与える影響について懸念が高まっている」とし、「AIの研究コミュニティーでは、AIが環境に与える影響を意識的に監視することがますます重要になるだろう」としている。

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