ベルギーで「仏教の教え」が支持を得ている理由、信者は15万人、正式な宗教としても認定(東洋経済オンライン)
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長い道のりを経て、仏教はベルギーで3月末に正式に宗教団体として認定されました。2006年にベルギー仏教連合(UBB)が仏教を無宗派の人生哲学(philosophie non confessionnelle)として認定するよう求めてから17年してようやくここまでたどり着きました。

欧州連合(EU)加盟国で仏教が正式に認められるのはオーストリアに次いで2カ国目。今回の認定により、仏教徒を港や空港、刑務所や軍隊といったところに派遣できるようになるほか、教育機関で仏教のコースを教えることが可能になります。人々が精神的な指導を必要とする場所で、仏教の倫理的価値を活用し、これらの価値観を広めることができるようになるわけです。

■仏教の教えを広めることが可能に

今回の認定が示すのは、仏教が小さな現象ではなく、ベルギーの社会の中に溶け込んでいるという事実です。実際にヨーロッパ、特にベルギーでは仏教徒が増えており、15万人のベルギー人が仏教を信仰しています(30以上の仏教施設などがあります)。さらに、50万人以上のベルギー人が仏教の教えに関心を持っているとされます。

1980年代までは、ヨーロッパでは仏教の教えを実践している人たちは、ほぼカルトのメンバー、あるいは奇妙な世界の人たちだと思われていました。しかし、1989年にダライ・ラマがノーベル平和賞を受賞すると、そのイメージは一変しました。特に仏教の一派である禅宗の教え「禅」はその後、大きな支持を得ていきます。

「内なる沈黙を鍛え、闘争心や葛藤を沈ませることが、仏陀が人間に与えた大きな目的でした。禅の瞑想は、この沈黙の実践です」と、ブリュッセルで禅の修行などを行っている協会「ダイセン・センター・ゼン」の創設者であるディディエ・エルヴォーさん(ディディエ龍玄僧侶)は説明します。

エルヴォーさんは1975年、フランス・パリで、僧侶の弟子丸泰仙(でしまるたいせん)さんのもとで座禅を始めました。「弟子丸泰仙の教えは、誠実で、寛大で、インパクトがあり、シンプルなものでした。その教えは瞑想に基づきながら、創造性をもって私たちの日常生活に浸透していくものでした」。

エルヴォーさんと禅の出会いは突然でした。ある日、車のタイヤがパンクしてしまい、修理後に手を洗おうとしていた時のこと、彼は小さなお店に入り、そこで禅のセッションが行われていることを知ったのです。

「禅とは何ですか」と彼が尋ねると、彼は中に入るように促され、その日初めて禅のセッションを行いました。それ以来、ずっと禅を続けていると言います。当時、禅は日本やアメリカでは知られていたものの、ヨーロッパでは知られていませんでした。

(後略