電話で悩みの相談を受け、自殺防止に取り組む認定NPO「三重いのちの電話協会」が相談員の不足に直面している。
今年度、新たな相談員を確保するため養成講座の受講者を募集しているが、30人の定員に対し6日時点での応募者は6人にとどまる。
同協会は4月21日までだった募集期間を10日まで延長した。

「三重いのちの電話」は2001年に開設され、毎日午後6~11時、ボランティアの相談員5~6人が待機し、交代で電話を受けている。

相談員は22年9月に計70人いたが、家庭や仕事、年齢などを理由に12人が退会し、現在は40~70代の58人に減った。

「いのちの電話」は全国に50カ所あり、その約半数が24時間態勢で相談を受けているが、県内では相談員の不足で実現していない。

一方、態勢充実の必要性は高まっている。厚生労働省と警察庁によると、22年の全国の自殺者数は男性は13年ぶり、女性は3年連続で増加した。

また、22年の県内の自殺者は320人(前年比5人増)で、2年ぶりに増加した。

「三重いのちの電話」には22年度、6176件の相談があり、「自殺を考えている」というものや、対人関係の悩みなどの内容が多かった。

1通話の平均時間は約30分と長い傾向にある。電話を切った後から次々とかかってくる状態で、「なかなかつながらない」という声も寄せられるという。

相談員になるには、1年数カ月の座学と実習の養成講座を受けた後、審査と認定を受ける。
養成講座の修了までに時間がかかることを負担に感じ、希望者が集まりにくい可能性もあると協会側はみる。
古庄憲之事務局長は「新たな相談員が増えなければ当番に入る人が減って、より厳しい状況になる」と危惧する。

募集要項
http://www.jona.or.jp/~mie-inochi/2023yousei.pdf