いよいよ現実味を帯びてきた「幻覚剤療法」、幻覚に対応できる専門家の育成が急務に、米国
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長年うつ病に苦しんでいるレネ・セントクレアさんは数年前、幻覚作用を持つ薬物ケタミンを用いた治療の最中、自分の脳が体から切り離されて浮かび上がり、部屋の向こうに移動してゆく光景を見て恐怖に襲われた。


「ゾッとするほど恐ろしかったです。もう脳は戻ってこないのではないかと思いました」。米カリフォルニア州サンディエゴに住む弁護士で、51歳のセントクレアさんはそのときの状況を振り返る。彼女の治療に付き添っていた看護師の要請により、精神科医がすぐに駆けつけて、優しく言葉をかけながらセントクレアさんの手をしっかりと握った。医師の存在によって落ち着きを取り戻した彼女は、薬が体から抜けて幻覚が消えるまでの40分間を心穏やかに過ごすことができた。

 強力な幻覚剤を投与するための、十分な訓練を受けた専門家の育成が今や急務となっている。米オレゴン州でシロシビン(マジックマッシュルームの有効成分)を使ったメンタルヘルスの治療がまもなく承認されるのに加え、米国食品医薬品局(FDA)は2023年後半、同局として初めて幻覚剤、メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA、別名エクスタシー)について、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療薬としての評価を行うと予想されている。