https://www.asahi.com/articles/ASR5D7TDDR5DULOB01L.html

平手打ち、肛門にナット 障害者施設中井やまゆり園で虐待9件認定

 神奈川県は12日、直営の障害者施設「中井やまゆり園」(中井町)で利用者への虐待が疑われるとして関係自治体に通報していた25件の事案のうち、9件が虐待として認定されたと公表した。ほかの8件は「不適切な支援」と判断され、残る8件は「事実が確認できない」とされた。

 県内には、2016年に入所者ら45人が殺傷される事件が起きた津久井やまゆり園(相模原市)を含め、「やまゆり園」と呼ばれる県立障害者施設が4カ所ある。中井やまゆり園には5月1日現在、六つの寮に89人が入所しており、非常勤の47人を含む193人の職員が勤務している。

 園では2019年、利用者が骨折する事案が発生したことを機に職員にアンケートなどを実施して、虐待の可能性がある91件の事案が浮上した。医師や障害者支援の専門家などからなる県の第三者委員会が調査した結果、昨年9月の最終報告書でこのうち25件について「虐待の疑いがある」と指摘していた。

 県は障害者虐待防止法に基づいて、利用者が入所前に住んでいた市町村などの関係自治体に通報。関係自治体がこのうち9件を虐待と認定したという。

虐待関与職員は64人、利用者11人が被害
 認定されたのは、利用者の顔を平手打ちし、こぶしで額を殴った▽服薬用のコップの水などに塩や砂糖が混ぜられていた▽利用者の肛門(こうもん)にナットが入っていた――など9件の事案で、利用者11人が被害にあった。

 県によると、この9件については同法に基づいて施設での改善計画を作成し、順次自治体に提出しているところだという。被害にあった利用者や家族に謝罪しており、刑事告発については「現時点では(手続きに)入っていない」とした。虐待に関わったとされる職員は64人にのぼり、県は処分について「顧問弁護士との相談や考査手続きをしている」とした。