TikTokerがモンタナ州の「TikTok禁止法」を巡り訴訟を提起
https://gigazine.net/news/20230519-tiktok-creators-sue-montana-ban-law/

アメリカのモンタナ州で「TikTok禁止法」が成立した翌日、アメリカ合衆国憲法修正第1条の権利を侵害しているとして、TikTokクリエイターが禁止法の発効を阻止すべく訴訟を提起しました。

アメリカでは中国発のショートムービーアプリであるTikTokが、中国政府によるアメリカ国民のスパイに利用されているのではと懸念されており、
AppleやGoogleといったスマートフォン向けアプリストアを運営する企業に対して「TikTokを禁止するように」と規制当局が圧力をかけたり、
議会に「TikTok禁止法案」が提出されたりと、TikTok排斥の動きが強まっています。

この流れを受け、2023年5月17日にアメリカのモンタナ州でTikTokの全面禁止を求める「TikTok禁止法」が成立しました。
TikTok禁止法は2024年1月1日発効予定となっており、これ以降は州内でのTikTokのダウンロードが禁止され、
TikTokにアクセスしたりアプリをダウンロードしたりする「能力を提供」するごとに、アプリストアやTikTokなどの事業体に対し、1日あたり1万ドル(約140万円)の罰金が科せられることとなります。
なお、罰則を与えられるのはあくまでアプリを提供する側のみで、アプリを利用するユーザー側への罰則はありません。

モンタナ州で成立したTikTok禁止法を受け、現地時間の2023年5月18日に同法律の発効を阻止すべく、5人のTikTokクリエイターが訴訟を提起しました。
訴訟の原告となっているのは元海兵隊の軍曹、インフルエンサー、牧場経営者、小規模な水着ビジネスを経営するビジネスマンなどで、原告5人のTikTokフォロワーを合わせるとその数は数百万人にもなるそうです。

訴状には「モンタナ州にはアメリカの外交政策や国家安全保障上の利益を推進する法律を制定する権限はありません。
また、モンタナ州は修正第1条で保護されているとはいえ、フォーラムを通じて共有される一部の言論が危険であるという認識に基づき、コミュニケーションのためのフォーラム全体を禁止することもできません」
「モンタナ州は、ウォール・ストリート・ジャーナルの所有者や掲載するアイデアを理由にウォール・ストリート・ジャーナルを禁止することができないのと同様に、
住民にTikTokの閲覧および投稿を禁止することはできません」と記されています。

原告側はTikTok禁止法がアメリカ合衆国憲法修正第1条の権利を侵害していると主張。さらに、
「モンタナ州は持ち合わせていない国家安全保障に関する権限を行使し、モンタナ州が抑圧できない言論を禁止しようとしている」とも主張しています。

原告のひとりであるカーリー・アン・ゴダード氏は、牧場での生活、子育て、レシピ、インテリアなどに関する動画をTikTokに投稿しており、
約9万7000人のフォロワーを抱えているそうです。ゴダード氏はTikTokを利用し始めたことで世帯収入が約3倍になったと訴状に記しています。