前略

インセル問題は、このようなネットカルチャーの問題の一部であると思います。
ゲーマーゲート事件やトランプ支持者たちを見ていると、サブカルチャーやインターネットに親和性が強いオタク的な男性が多い。
インセル問題などで銃乱射事件を起こす過激派は、4chanなどのオタク系掲示板に触れて過激化していったと分析されています。

 杉田さんの仰るような交差的な多様性やポリコレやリベラルみたいなものに置き去りにされたと思っているのでしょうね。
アメリカ地方のラストベルトの人たちもいますが、ある種の社会的疎外を受けたいわゆる「負け組」意識を持つ者が多いと思います。
『フィールズ・グッド・マン』というドキュメンタリー映画で、トランプ陣営の選挙戦略を担当した人が、「負け組」のネットミームである「カエルのペペ」を用いてネットの支持者を集めたことを語っていて、
映画は実際にそういう人たちの姿を映していますが、確かに社会的に不遇なようでした。

 そのような「見捨てられた」絶望がある一方で、「侵略されている」という意識もインセルたちに顕著です。
これは思うに、インターネット初期の頃は自分たちで開拓した猥雑で自由な空間だったのが、そこに女性たちが入って来て綺麗にしてしまった、
自由で滅茶苦茶だったサブカルチャーの世界も綺麗にしなくてはいけなくなってしまった、
「ポリコレ」や「フェミニズム」が文化帝国主義として侵略してきた、そして居場所がなくなった、というネット「原住民」の感覚が関係しているように思います。

80年代、オタク文化、サブカルチャーが盛んで猥雑でカウンターカルチャーだったような時期に愛着を持ち、
あるいはネットで人と繋がることを通じてメンズリブ的、ケア的な集団形成みたいなことをして何とか生きて来た人たちが、
その居場所を奪われて怒っているというようにも見えるわけです。
リアルな世界で居場所やつながりが乏しい人たちが、ネットにそれを求めるメカニズムも、前掲のドキュメンタリーや、陰謀論者を扱ったドキュメンタリーなどで映し出されています。

全文はソースで
https://note.com/sakuhinsha/n/n1e0079e42e22