残念ながら、日本の自殺死亡率は、G7のなかでワーストである。厚生労働省の人口動態統計によれば、長らく10代~30代の若者における死因の一位が自殺であり、40代でも2位、50代前半でも3位に入る。

どうして日本はここまで自殺者数が多いのか。それには2つの理由が考えられる。

1つは、日本人の国民性と自殺に、親和性があるためだ。恥の文化や切腹文化は日本人の深層心理に影響を与え、「ひと様の厄介にはなれない」「潔く死ぬ」「死んでお詫びをする」といった価値観がいまなお存在する。中高年男性において自殺が多いのは、失業=喪失体験といった側面があるためだろう。

2つめの原因は、日本における、「メンタルヘルス・リテラシー」の低さにあると私は考えている。万が一、職場においてストレスが高じ、心身の不調をきたせば、周囲から「メンタルが弱い」「仕事ができない人」とレッテルを貼られてしまう。

そのため、上司にも相談ができず、ぎりぎりまで耐えようとした結果、本当にメンタルヘルスが"ダウン"してしまう。

つまり、精神疾患を発症してしまうのだ。日本には、精神疾患に対する偏見が根強く存在するため、不調が強まっても早期の受診に至らず、そのことを本人も周囲も話題にできない。

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