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ポーランドで17世紀の女性ヴァンパイアの遺体が見つかる

ポーランドのブィドゴシチ近郊にある17世紀に建造された墓地で、女性の吸血鬼(ヴァンパイア)の遺体が発掘されました。ヴァンパイアの頭蓋骨には鎌のようなものが置かれており、左脚の親指には南京錠がかけられていたそうです。
ヴァンパイア関連の伝承は少なくとも4000年前の古代メソポタミアにまでさかのぼります。アッシリアではラマストゥと呼ばれる魔の女神が、ベビーベッドや妊婦の体内にいる段階の赤ん坊を殺害すると恐れられていました。他にも、ヘブライ語の文献や民間伝承に登場する「リリス」と呼ばれる存在が、幼児や胎児をさらうと言い伝えられています。ラマストゥやリリスは、幼い子どもから血を吸うギリシャの伝説の化け物であるラミアの前身であるとされており、これらが後のヴァンパイアのベースになったと考えられています。ヴァンパイアの前身となったであろう怪物の伝承は世界各地に存在しており、中国の「クエイ」、ロシアの「upir」、インドの「vetala」、ルーマニアの「strigoi」、ギリシャの「vrykolakas」なども、ヴァンパイアと似た特徴を持つ架空の怪物として民間伝承で伝わってきた存在です。

ヴァンパイアの存在が英語のニュースで初めて報じられたのは1732年のこと。これは「ヴァンパイア由来の伝染病が東ヨーロッパで拡大した」というウワサが広まったことから報じられたものです。その後、19世紀までにヨーロッパでヴァンパイアに関する伝承が広がり、1819年にはジョン・ポリドリが英語で最初に出版されたヴァンパイアに関する小説「吸血鬼」を執筆。その後、1872年にシェリダン・レ・ファニュが「カーミラ」、1897年にブラム・ストーカーが「ドラキュラ」をリリースし、ヴァンパイアというジャンルを確立したとされています。

ヴァンパイアの特徴には「血を吸った人間を不死者としてよみがえらせる」というものがあるため、中世のロシアではヴァンパイアと疑われた人物の死体を火葬したり斬首したり心臓に木の棒を打ち込んだりすることで、死体がよみがえることを防ごうとした形跡が見られるそうです。

ドイツや西スラブ地域では、ヴァンパイアと疑われた者が斬首され、頭を足の間や体から離れた場所に置いて埋葬するという手法が取られていました。他にも、死体を逆さまにして埋めたり、膝の腱を切断して埋葬したりといったケースもあったそうです。ギリシャのヴリコラカでは死体の胸に十字架が刻まれた陶器の破片を置いて埋葬するという手法が取られました。また、ヴァンパイアがアリスモマニアに弱いとされた地域では、ヴァンパイアが出没するとされる場所にケシの実やキビの種がまかれたそうで、この民間伝承はX-ファイルのシーズン5エピソード12「Bad Blood」でオマージュされています。