全国優勝して去る…警部はレジェンドゲーマー 見つけた新たな道

 対戦型格闘ゲームの愛好家の間で「レジェンドプレーヤー」として知られた現役警察官がいる。警察官になったのを機にゲームの世界から離れて約20年。今は勝負師だった当時とは違う気持ちでコントローラーを握る。

 ◇人生を変えたゲーム「ヴァンパイア」

 「岐阜のレジェンドプレーヤー」「ミスター・ヴァンパイア」「最高連勝記録198」――。インターネットでこの人の名前を検索すると、こんな書き込みが出てくる。

 岐阜県警情報管理課の平井伸介警部(44)が、格闘ゲームの魅力にとりつかれたのは中学時代。地元岐阜市のゲームセンターで、さまざまなキャラクターが多彩な技を駆使して戦う「ストリートファイターⅡ」をプレーしたのが始まりだった。

 「キャラクターの手足を自由に動かせる操作感や音・映像が鮮明で衝撃を受けた」。ゲームセンターには毎回行列ができ、1時間に1回しかプレーできなかったが、順番待ちも苦にならなかった。

 さらに高校時代、「人生を変えた」ゲームと出会う。吸血鬼や狼男(おおかみおとこ)など伝承上のモンスターを操る「ヴァンパイア」シリーズだ。これまでの格闘ゲーム以上にプレーヤーの操作テクニックが勝敗に直結すると感じ、週の大半はゲームセンターに通って毎回2時間ほどの「練習」を重ねた。

 高校1年の時にヴァンパイアの全国大会に出場し、約500人のトーナメントを勝ち抜き初代全国チャンピオンに輝いた。高校卒業後、名古屋市の情報処理専門学校に進み、パソコンのシステム開発を手掛ける岐阜市の会社に就職したが、格闘ゲームへの熱は冷めなかった。

 ◇1日で198連勝

 地元では敵がいなくなったため、対戦相手を求めて全国のゲームセンターを転戦した。高校時代、ヴァンパイアシリーズ第2弾「ヴァンパイアハンター」では1日で198連勝を記録。ヴァンパイアシリーズを含めた格闘技ゲーム大会の通算優勝は「少なくとも20回以上」を数える。

 「ゲームが娯楽から勝負事になった。負けたら自分の人生が否定されたと思うほど悔しかった」。平井さんはゲーマー時代をこう振り返る。

 負けず嫌いの性格も手伝い、勝つための努力を惜しまなかった。自前のコントローラーを改造し、ボタンの連打やレバーを激しく動かしても操作が安定するようコントローラー内部に重りを入れたりした。

 ◇父と同じ道に

 転機は25歳。岐阜県警の警察官だった父の勧めもあり、同じ道に進むことを決意し、2005年に警察官になった。

※略※

https://news.yahoo.co.jp/articles/110cb9c3219b9a78069e435bb3fcced6b7cf5436