https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/blog/bl/pVv2mGav4V/bp/pKPLpZkonK/

ロシアがウクライナに軍事侵攻してからまもなく1年。ロシアとウクライナの両陣営は、戦況を有利にするために、日々大量の情報を発信、熾烈な情報戦を繰り広げてきた。
自国の行動を正当化するプロパガンダを発信し続けてきたロシアに対し、ウクライナは、世界中の広告代理店を巻き込み、政治的なPR戦略を展開させてきた。

今回私たちはその中でも、アメリカのとある広告代理店に密着。ロシアという強大な国に対抗し、国際社会から支援を取り付けるために、ウクライナは、広告代理店を通じて、どのような“情報戦”を行ってきたのか。その舞台裏を取材した。(NHKスペシャル「“情報戦”ロシアVS.ウクライナ」取材班 ディレクター 高橋裕太)


“情報戦”担った広告代理店が年間大賞に
ロシアとウクライナの戦闘が続いていた去年10月。戦地から遠く離れたニューヨークで、きらびやかなパーティーが開かれていた。アメリカの広告業界が優れたPRキャンペーンを称える表彰式だ。

300以上の広告代理店が参加し、その中から年間の優秀賞が選ばれる。そのファイナリストには、コロナ渦で悪化した子どもたちのメンタルヘルスを改善させようという、子どものためのキャンペーンなどが並ぶ中、それらをおさえて年間大賞に選ばれたのが、ウクライナ側が仕掛けた政治的なキャンペーン。
ロシア産のエネルギーを輸入しないよう訴えたものだ。その一翼を担ったのは、アメリカの広告代理店・カーブコミュニケーションズ。社長のアンドリュー・フランクさんは、受賞が決まると、仲間と肩を抱きしめて喜び、表彰台でその思いを話し始めた。

「本当に衝撃的でとても感謝しています。しかしまだ終わりではありません」

授賞式の様子 右がフランクさん