米デフォルトで上がる株も、同盟国は戦々恐々
米国の財政力に疑問符がつくだけではない

2023 年 5 月 24 日 15:01 JST
https://jp.wsj.com/articles/u-s-default-could-supercharge-these-stocks-and-spook-allies-b73236c6

 米国がデフォルト(債務不履行)に陥る「Xデー」が急速に近づいている。

ジャネット・イエレン米財務長官によれば、早ければ6月1日にも起きる可能性がある。米議会が既に承認した支出を支払うのに、新たに必要な債券の発行を許可する限りは米国の借り入れ能力に問題は生じない。

だが、ホワイトハウスと共和党が主導権を握る下院との間で合意が成立する見込みは、依然として際どい状況にしか思えない。

 もしデフォルトに陥れば、米国人が大変な痛みを伴うことはほぼ間違いなく、国外にも大きな影響を及ぼすだろう。また世界の金融を予測しがたいさまざまな形に作り変える可能性がある。

中でも二つの結果をもたらす公算が大きい。

第一に、米国債に対する外国からの需要が永続的に打撃を受けかねない。

第二に、米国の財政上の制約が強まれば、対外的な安全保障へのコミットメントを控えざるを得なくなるだろう。

この1年の優良銘柄の一つだった外国防衛企業の株は、当初のパニックが鎮まれば、上昇が一段と加速する可能性がある。

 過去20年間に起きた大混乱――2008年の金融危機、11年の米国債格下げ、米中貿易摩擦、新型コロナウイルス――にもかかわらず、米国債に対する外国からの需要は高まり続けた。

それにはいくつかのもっともな根本的理由がある。

米国は大半の先進国よりも経済成長のスピードが速く、外国投資家はドル建ての取引収益の置き場所を必要とする中、米国の利回りは相対的に高いことだ。

そして何より重要なのは、米政府には確実に支払いをしてきたという信頼感がある。