先月、第三者委員会が神奈川県大和市で起きた“ある事件”の報告書を公表した。

 この事件では2017年と2019年にそれぞれ当時1歳だった三男、7歳の次男を殺害したとして母親が逮捕・起訴された。次男は過去、児童相談所に保護された経緯があり、
その際「母親から暴力を受けた」と話していた。

 児童相談所や自治体が「命の危険がある」と認識していたにも関わらず、なぜ事件を防ぐことができなかったのか。

 過去に父親から虐待を受けた村田さん(20代・仮名)は「いきなり頭や腹を蹴られる。身体が一回転して、壁に激突することが何度もあった。髪の毛をつかまれて、
廊下を引きずり回されることも多かった。食事はお金が置いてあって『自分で用意しろ』って感じだった。毎日コンビニで菓子パンや弁当を買って食べていた」と話す。

 ある日、父親から包丁を突きつけられた村田さん。交番に駆け込み、警察からの連絡で児童相談所に一時保護された。その際、迎えに来た親の話だけが聞き入れられ、
本人の意思に反し、簡単に自宅へと連れ戻されてしまったという。

 日に日にエスカレートする父親の暴力に、村田さんは何度も児童相談所に行った。

「何回も『保護してほしい』と相談に行ったけれど、全く聞いてもらえない。親の前で謝らせられて、そのまま家に帰らされる。職員は常に親の味方だった」

 22歳の時、村田さんはようやく話を聞いてくれる警察官に出会うことができた。福祉窓口につなげてもらい、支援を受け、今は親元を離れて暮らしている。
https://times.abema.tv/articles/-/10081393