アイカーン氏の資産激減-かつての乗っ取り屋、狩られる側に

映画「ウォール街」の主人公、「強欲は善」がモットーのゴードン・ゲッコーのモデルの1人

昨年放送されたHBOのドキュメンタリー「アイカーン-ウォール街最強の投資家-」(原題:Icahn: The Restless Billionaire)で描かれたアイカーン氏は、その全盛期には米企業の最高経営責任者(CEO)が最も恐れる人物だった。

ネイト・アンダーソン氏(38)が率いる空売り投資家ヒンデンブルグ・リサーチは、アイカーン氏の上場企業、アイカーン・エンタープライゼズに狙いを定めた。アイカーン氏が完全に違法ではないまでも損害の大きい誤りを犯し、同氏自らにとって許せない罪であるはずの「ひどい業績」をもたらしたと非難した。

  アイカーン氏のエグゼクティブアシスタントで1990年代以来秘書の役割を務めているスーザン・ゴードン氏がニュースを知らせるため電話してきたのは約3週間前だ。

  投資調査会社でもあるヒンデンブルグは2日に公表したリポートで、アイカーン・エンタープライゼズの株価が保有資産に対して大幅に過大評価されており、投資家にとっての大きな魅力である同社の高い配当は維持不可能だと主張した。

  アンダーソン氏のリポートは以来、アイカーン氏の資産を100億ドル(約1兆4000億円)以上目減りさせた。次々と企業とその経営陣に挑み続けることに生涯を費やしてきたアイカーン氏は、都合の悪い問いをほとんど無視してきた。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-05-24/RV32RAT0AFB401