https://gigazine.net/news/20230601-india-cuts-evolution-periodic-table/

「生物は不変なものではなく、長い時間をかけて少しずつ進化してきた」という進化論は多くの研究や証拠と共に定説として受け入れられ、
今では教科書にも記載されていますが、宗教や思想によっては進化論を受け入れない地域も存在します。
インドでは、中学・高校のカリキュラムから進化論が削除されると報じられており、さらに元素周期表や公害・気候変動などのトピックも取り扱われなくなるとのことです。

学術雑誌のScienceによると、インドの9年生(日本の中学3年生)と10年生(日本の高校1年生)が使う教科書から、チャールズ・ダーウィンの唱えた進化論に関する項目が削除されることが決定しているとのこと。

さらに、元素周期表に関するトピックや、エネルギー源と天然資源の管理についてのトピック、
さらに電磁気学の父ともいえるマイケル・ファラデーの功績や産業革命に関する内容、民主主義と多様性に関するトピックも教科書から削除されました。
これらの変更について、NCERTは「他の場所で扱われている同様の内容と重複していないか、内容の難易度はどうか、内容が無関係かどうかを考慮した」と述べています。

このカリキュラムの変更は、インドの学校に通う11歳~18歳の約1億3400万人に影響を与えるとのこと。
インドで生徒のカリキュラムを設定して教科書を発行する自治政府組織・国家教育研究訓練評議会(NCERT)は、
「進化論のトピックを削除したのはコンテンツの合理化プロセスの一環である」と述べ、
新型コロナウイルス感染症のパンデミックの中で「現在の文脈において無関係なコンテンツを避けるべきだ」として削除を決めたと述べています。

コルカタにあるインド科学教育研究所のアニンディタ・バドラ氏は「トピックを削除したのは生徒に質問をさせるためとのことですが、
基本的な概念を取り除くことは好奇心を刺激するどころか、むしろ抑制してしまう可能性があります。
トピックの削除は『内容を減らして教える量を減らす』ようなもので、好奇心を刺激するのはこういうやり方ではありません」と述べています。