公式な統計によると、イラン社会は急速に高齢化社会に向かっている。2022年3月時点で、イランの人口増加率は辛うじて0.6%に達した。イラン医科大学のモハメド・タバタバイ保健局長によると、2023年5月13日には出生率は1.6%まで低下した。危険なのは、今後数年間人口が減少傾向にあると予想されていることである。

RCP(代表濃度経路)シナリオによると、現在の出生率の低下傾向が衰えずに続く場合、イランの人口は2051年には8,200万人にまで減少する。2060年には7,760万人、2100年には4,200万人になる。また、2051年までに高齢化率は30%に達すると予想される。アリー・ハメネイ最高指導者は声明で次のように述べた。「現代人はますます高齢化している。これは悪いニュースで、恐ろしい事態だ」さらにこう付け加えた。「もしこれが現実になれば、国は自らを救う手立てがなくなる」したがって、ハメネイ師はイラン政府に高齢化社会の解決策を見出し、国の人口を倍増させるよう促した。

イラン政権は、高齢化がますます顕著になっている人口ピラミッドに関する政策を再検討した。同政権によれば、人口は国力の要素の1つであり、地域の影響力を強化する上で重要な要素であり、特に近隣諸国との人口競争を考慮すると、イランの人口が将来減少する可能性は同国の地域的地位と役割に影響を与えるだろう。近隣諸国の人口と出生数の増加率はイランよりも高く、イランはこの変化が将来的に国の存続を危うくすると感じている。イランは、多数のスンニ派が住む広い地域に位置しており、親政府派の民族グループも拠点を置いている。これは、人口増加が単なる国内問題ではなく、地政学的な側面もあることを意味する。

とはいえ、イラン国内の様々な民族や宗派間の人口増加率の格差は、イランに住むシーア派ペルシャ人の懸念を深めている。これは、シーア派の人口増加率がスンニ派のそれよりもはるかに低いためであり、将来シーア派の権力掌握に脅威をもたらす。さらに、シーア派国家としてのイランの存在と、宗派的な側面を基盤とする「ヴェラーヤテ・ファギーフ(法学者の統治)」政治プロジェクトを脅かす。公式の数字から、合計で2,000万人から2,500万人に達するスンニ派は優勢に傾いており、テヘランだけで100万人以上を超えることは注目に値する。

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