今年1月に放送されたTVアニメ『スパイ教室』の売上に、衝撃が広がっている。
界隈では誰もが知る声優ばかりを集めた“人気声優バイキング”だったにもかかわらず、オタクたちの心は動かなかったようだ。

人気女性声優で固めたアニメ

同作は、「第32回ファンタジア大賞」の大賞を獲得したライトノベルが原作。
不可能任務を課せられた「灯」という機関の少女たちを主人公とした、スパイファンタジー作品だ。

話題を呼んだのは、出演声優たちが別作品では“主演クラス”のトップスター揃いだったこと。
たとえば同作のヒロイン・リリィを演じた雨宮天は、『この素晴らしい世界に祝福を!』のアクア役などで知られる人気声優だ。

また、『五等分の花嫁』中野四葉役で知られる佐倉綾音や、
『魔法少女まどか☆マギカ』鹿目まどか役の悠木碧、
『チェンソーマン』マキマ役の楠木ともりが勢ぞろい。
そのほかにも、水瀬いのりや伊藤美来、東山奈央や上坂すみれといった人気声優たちが合計8人も揃っていた。

「しかしそんなキャスティングはヒットには結びつかず、Blu-ray&DVDの売上は悲惨な数字に。
全2巻で3月24日に第1巻、5月24日に第2巻が発売されましたが、販売枚数はわずか89枚ほどとされています。

この数字は、歴代アニメのパッケージソフト売上ランキングでワースト7位にあたる順位だそうです」(アニメ誌ライター)

VTuberの台頭で終わりそうな声優ブーム

ただでさえアニメのBlu-ray・DVDが、ネット配信の普及によって売れなくなっている時代。
そのなかでも「スパイ教室」の売上は、声優ブームの終焉を感じさせる数字と言える。

「ここ最近の声優界隈は、オタクに媚びることが減っています。
ひと昔前は、結婚の事実をひた隠しにする声優も多く、発表のタイミングも慎重に検討されていました。
ところが今では隠さずに堂々と発表され、今年に入ってからも有名声優から続々と結婚発表が出ています。

そもそも週刊誌などが声優の熱愛報道を狙うようになったため、恋愛事情が表沙汰になるのも日常茶飯事。
下手に隠ぺいした方がダメージが大きくなる…という事情が背景としてあります。

そうした現状から、声優という存在自体に愛想を尽かすオタクたちが後を絶ちません」(同)

人気声優をキャスティングするだけで売上が伸びるという時代は終わり、今やオタク文化の中心がVTuberへと移りつつあるという。

「スキャンダルが表沙汰になりにくいVTuberは、声優に代わるアイドルコンテンツとして最有力。
すでに大手声優事務所では、本格的に自社発のVTuberを検討しているところもあります」(同)

これからは、声優とVTuberの仕事の奪い合いが起きるかもしれない。

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