【4677】 ストーカー被害の妄想がある方が本当に被害にあったら | Dr林のこころと脳の相談室
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Q: 私は30代男性です。動画サイトやSNSなどで集団ストーカーの被害を訴える方を時折目にします。これらが仮に統合失調症などの妄想によるものだとして、その発信が悪い形で周囲の目に留まり住所などが割れてしまい面白半分で人々が押し寄せてきて、集団ストーカーの妄想が現実になってしまったとき、彼ら彼女らはそれをどのように受け止めるのでしょうか?
「ほらやっぱり!」となって妄想を強めるのか、今までの被害妄想と明らかに違う事態を察して妄想に気づくのか、あるいは妄想により感じている被害とは異なる被害であることを認識した上であくまで元の被害妄想を信じ続けるのか……。
実際に集団ストーカー被害を動画で訴える人がネットでおもちゃにされている事例があったので気になって質問しました。

林: 精神病的な妄想を持つ人においては(統合失調症と妄想性障害がその代表です)、実際にはその妄想内容と全く関係がないか、無理に無理を重ねてこじつければ関係がないとまでは言えないような事実を、妄想内容が正しいと判断する根拠であると主張されるのが常です。
ご質問の
面白半分で人々が押し寄せてきて、集団ストーカーの妄想が現実になってしまったとき
については、実際にはその具体的な内容・状況によるので一概には言えませんが、総論的には、妄想が強化されると言えるでしょう。
「ほらやっぱり!」となって妄想を強めるのか、
それがかなり可能性の高い反応です。
今までの被害妄想と明らかに違う事態を察して妄想に気づくのか、
それが「今までの被害妄想と明らかに違う」と言えるかどうかは、上記の通り、具体的な内容・状況によりますので一概には言えません。ただ明らかに違っていようと、違いがそれほどなかろうと、それによって「妄想に気づく」ことはまずないでしょう。
あるいは妄想により感じている被害とは異なる被害であることを認識した上であくまで元の被害妄想を信じ続けるのか
「あくまで元の被害妄想を信じ続ける」、または元の被害妄想が強化されるでしょう。それが「妄想により感じている被害とは異なる被害であることを認識した上で」と言えるかどうかはわかりません。
いずれにせよ、妄想を持っている人とは、妄想を持っているという病気を持っているわけですから、「面白半分で人々が押し寄せ」るのは、病気に苦しむ人の病気を故意に悪化させる行為にほかならず、きわめて残酷な行為です。
(2023.6.5.)