中国の個人投資家は、自国の株式市場に復活の兆しがほとんど見えない中、日本株関連の投資商品に群がっている。

  みずほ証券の分析によると、日経平均株価に連動する中国の上場投資信託(ETF)の幾つかは5月に資産額が2倍余りに増えた。日経平均は同月に7%値上がりし30年ぶり高値に達した。これに対し中国のCSI300指数は5.7%下落。

  ストラテジストの王申申、菊地正俊両氏は7日のリポートで「高値更新を繰り返す日本株は中国市場で注目を集めており、日本株ETFへの資金流入増につながっている」と説明。「中国株の調整が日本株ファンドへの流入を加速させるだろう」と予想した。

  中国の景気回復に予想よりも時間がかかっていることや米中の緊張が高まっていることに中国の投資家は失望感を抱いている。CSI300は今年の上げを全て失った一方、日本株はインフレ復活と企業統治の改善を追い風に2桁台の上昇と、2023年の世界最強パフォーマーの一つとなっている。

  株価の適正水準達成を企業に促す日本の取り組みが中国の投資家を引き付けている可能性が高いとストラテジストらは分析。バリュエーションの低い中国の国有企業も同国市場で人気となっていると指摘した。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-06-08/RVX0P2T1UM0W01