自社株買い優先で「日本経済縮む」 雪崩打つ企業、問われる利益分配

 日本企業が自社株買いに雪崩を打ち、年間でも最高に迫る勢いだ。自社株買いを公表した企業の株価は、軒並み急上昇している。ただ、企業が持つお金の行き先が株主還元に偏り過ぎれば、経済の健全な成長にはつながらない。膨らんだ利益をどう分配するのか、経営者には重い責任がのしかかる。

 発行済み株式の約12%、1130億円分を買い戻します――。市場関係者を驚かせたのは、東京ガスが4月に発表した自社株買いだ。過去5年では年間ゼロ~240億円だったため、突出した規模だ。発表前に2600円前後だった東京ガスの株価は急騰し、6月には3100円を超えた。

 液化天然ガスを割安に仕入れることができ、2023年3月期の純利益は前年の約3倍、2809億円に膨らんだ。東京ガスは、過去最高益になったことを受け、自社株買いで株主への還元に充てるとしている。

 一方、ロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー価格が高騰し、ガスや電気の料金が跳ね上がって家計を圧迫している。政府は1月使用分から、都市ガスの料金が値引きになるようガス会社に補助金を出している。

 自社株買いに巨額の資金を充てる余裕があるのなら、ガス料金を値下げする余地はないのか。

「言い出しっぺ」の東証も困惑気味
https://www.asahi.com/sp/articles/ASR6B6RPBR68ULFA01V.html?iref=sp_new_news_list_n

東証は、ことし1月、市場での評価が低い企業に改善を求める方針を明らかにし、3月下旬にはこの方針に沿って対応するよう上場企業に通知していて、これも企業が自社株買いを活発に行う背景にあるとみられます。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230522/amp/k10014075251000.html