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ロシア国内では、6月5日に公営放送のテレビ、ラジオが一時ハッキングされ、プーチン氏が「総動員令を出す」と演説する内容のフェイク映像が流れる、内乱騒動が起きたばかりだ。

「政権内はすでに混乱していて、先月のクレムリンへのドローン攻撃について、プーチンは『上空を通過していっただけだった』と記者に言ったんです。
つまり、誰も本当の攻撃内容を彼に伝えていない。都合の悪いことは口にすらできない状況なんです。

 クレムリン内部からは、プーチンの“対立候補”を探そうという動きが出ていると聞こえてきています。
では、実際に誰がプーチンに弓を引けるかというと、民間軍事会社・ワグネル創設者のプリゴジンしかいないでしょう」(中村氏)

 青年期を刑務所で過ごした後、プリゴジン氏は飲食店経営に乗りだすと、プーチン氏と親密に。ロシア軍の “右腕” としてワグネルを創設した。

 そんなプリゴジン氏だが、激戦地のバフムトで戦闘していた自身のワグネル部隊の撤退ルートに、ロシア軍が地雷を設置したとして激怒。
そのほかにも、プーチン政権の戦況の見通しの甘さを批判し、ここにきて「ロシア革命が起きる」といった過激な発言を繰り返している。

「ロシア国内の西部ベルゴロド州で戦闘が起きましたが、これは反体制派のロシア人組織『自由ロシア軍』『ロシア義勇軍団』による攻撃とみられています。

 そしていま、『戦争に勝てない』と踏んだプリゴジンが、ワグネルとウクライナ側に立つ勢力を束ねて、ロシア西部からクレムリンに向けて進攻をおこなうという事態を、
プーチン政権はもっとも恐れているんです」(中村氏)

 新たなロシア革命に向けて、“反プーチン勢力”に残された時間は少ないと考えられる。前出の名越氏が話す。

「ロシアでは9月から“政治の季節”に入ります。9月には統一地方選挙があって、2024年3月には大統領選挙がおこなわれます。
そこに向けて、国内では珍しく『次の大統領』の話題が出始めている。プーチン体制の潮目が変わるとしたら、選挙前に社会が動揺するこのタイミングだと思われます」

 ウクライナもまた、情報当局幹部が“プーチン暗殺”に言及するなど、戦況に自信を深めているようだ。
そこにプリゴジン氏の“寝返り”があれば、状況は断然、ウクライナ有利で進むだろう。

「プーチンにとって、側近だったプリゴジンに暗殺されかねない状況。まるで、織田信長と明智光秀の関係性といったところでしょうか」(中村氏)

 2度めの“8月革命”が起こりうる。