現在SNS上を騒がせているのは、純文学界隈では知らない者はいない作家・笙野頼子だ。

笙野は前衛的な作風で知られており、野間文芸新人賞に三島由紀夫賞、そして芥川賞の“新人賞三冠”を獲得した経歴をもつ。歴史ある文学賞の選考委員や、立教大学の特任教授を務めた過去もある。

「いかにも文壇の重鎮のように思われるかもしれませんが、ここ数年は界隈で居場所を失いつつあります。元々論争的な文章の書き手で、多くの論敵を作ってきたことが災いしたのでしょう。さらに最近では、陰謀論への接近も問題視されているようですね」(文芸誌関係者)

笙野は『Female Liberation Jp』というメディアにて、いわゆる“LGBT法案”への反対を表明してきた。そこで公開された『解題二つ、エッセイと小説について 第一回』という記事では、《そんな運動に竹中平蔵、電通、ジョージ・ソロスの支援の印がある》という文言が記されていた。(現在は非公開)

また『直接の削除要請が来たら消してしまいます』という記事では、《ていうか法律に勝手に横文字を入れてはいけません。ここは日本、独立国、たとえLGBT当事者であってもGHQの支配は受けられません》という一文があった。

ミステリー界隈の大物にも呆れ声
「LGBT法案へのスタンスはさておき、《ジョージ・ソロスの支援》や《GHQの支配》といった言葉には違和感を覚えざるを得ません。

ジョージ・ソロスとは世界的に有名なユダヤ人投資家ですが、その名前はアメリカを陰で操る組織がいるというディープステート陰謀論との関連でよく出てきます。また、保守論壇では戦後日本がGHQによる洗脳を受けているという説が定着しており、これを陰謀論扱いする人も少なくありません。

笙野作品のファンのなかにも、こうした言動に失望したり、動揺したりする人が現れているようです」(同)

実はこの前には、御手洗潔シリーズで知られるミステリー作家の大物・島田荘司も陰謀論との接近によって、物議を醸していた。

2020年のアメリカ大統領選挙をめぐり、ジョー・バイデンが選挙不正によってドナルド・トランプに勝利したと主張したのだ。これがいわゆる“Qアノン”的な見解だとして、同じミステリー界隈の大御所・笠井潔からも手厳しい意見を浴びていた。

笙野が幻想と現実を混在させるマジック・リアリズムの第一人者として知られる一方、島田も“奇想”にこだわる創作理論をもっています。妄想、幻想を創作の軸としていた作家ばかりが陰謀論にハマるのは、偶然ではないのかもしれません」(同)

もちろん、2人が偉大な小説家であることには変わりがないが、晩節を汚してしまうことが心配でならないhttps://myjitsu.jp/enta/archives/120061