吉原の殺人事件に元風俗嬢のリアルな声 求人媒体が性産業の入り口を明るく広く軽く前向きにした
https://dot.asahi.com/amp/dot/2023050900032.html

近年、性産業で働いてきた女性たちから、「あれは『仕事』ではなかった」という声があげられてきている。「仕事だから頑張らねば」「仕事なのだから、これくらいの理不尽は我慢しなければ」、そういう思いで必死に頑張ってきた「仕事」が、実は金が支払われたことで免除される性搾取と性暴力だったのではないか、という一石を投じる声だ。そういう声にどのように向き合うかが、これから問われていくだろう。

 このゴールデンウィークの最中、一人の女性がその仕事場で殺された。

 性産業は店舗型のほうが安全、お店の管理がしっかりしているから安全といわれていたが、そんなことはない。個室で見知らぬ男とたった2人きりで裸になる。妊娠や性感染症のリスクは高いうえ、たとえ怖い思いをしても相手の男の機嫌を損ねないように「対処」するのがプロとされている。今回の事件を受けて、買春する男性たちに「吉原の事件のことを気軽に嬢に話さないで! みんな怖い思いをしているから」と呼びかけ、入り口で荷物検査をするような提案をする声は無数にある。そういう“やさしい”配慮の声に対し、「こういう事件の後に勃起できる神経が怖い」ということを書いていた元風俗嬢の女性の声のほうがリアルだと私は思った。

 被害者の冥福を心から祈ります。