【御嶽山噴火1年】生還女性が初めて語る「あの時」 「焼け死ぬのか、溶けるのかな…」
2015/9/28 05:30

噴石が襲ってきたのは噴火から1分もしないころだった。山梨県富士山科学研究所の試算では、火口から噴石が出た速度(初速)は時速360~540キロ。地面に衝突した際の速度は最低でも108キロだったという。女性にもそんな噴石が容赦なく襲い、ザックで隠れていない後頭部や腰を直撃した。「折れたかなと思うほど、これまで受けたことのない衝撃」。実際に腰の軟骨は折れていた。

噴石の勢いが少し弱まったとき、近くで一緒にしゃがんでいた男性が声をかけてきた。「起き上がれないから起こしてくれ」。男性の体を支えてあげたが、すぐにばったり前に倒れた。どうすることもできず、男性の口に付いた灰をぬぐってあげるしかなかった。

その直後、噴石が再度襲ってきた。最初より激しく降り注いだ噴石は次々と体に直撃、最後に身体が地面に沈むくらいの衝撃を左腕に受けた。「痛い、熱い、しびれ。味わったことのない感覚だった」

噴石の勢いが弱まり、体を起こした。周囲で動ける登山客は3、4人。口をぬぐった男性は亡くなっていた。自身はおなかに重たいものを感じた。噴石の直撃でちぎれた自分の左腕だった。体に少しだけくっついた状態で傷口から血が滴り落ちている。「止血お願いします」。必死に叫んだ。
https://www.sankei.com/article/20150928-OKO2JAHEVFP6XE52HZZK5TGALM