「年金額が月10万円以下という人も少なくない」中高年独身女性の貧困が放置されてきた理由

生活が苦しくとも誰にも相談できない―。そんな孤独を抱えながら貧困に苦しむ中高年が増えている。特に同居家族がいない独居中高年の場合、身近に助けを求められる人すらいなく、苦しい状況を一人で抱えたまま心を病んでしまう人もいる。中高年を襲う孤独と貧困の実情に迫った。

中高年シングル女性の貧困が放置されたワケ
「中高年シングル女性の貧困が注目されてこなかった大きな理由は、決してそんなことはないのに、当事者も周囲も『自己責任』という意識が強いからだと思います」

そう話すのは、長年、女性の貧困を追い続けているジャーナリストの飯島裕子氏だ。数年前に「貧困女子」という言葉が生まれたように、若年層の女性の貧困には社会的にも注目が集まってきた。

一方で中高年女性の場合、「本人も『苦しい生活を明かすのは恥ずかしい』と感じて声を上げる人が少ない」という。

賃金格差や年金格差の問題も
「男性も同じですが、中高年は自己責任という意識が強く、生活保護などを受けようとしない傾向があります。SNSなどネットを活用できない人も多いですし、単身だと周りとの接点が年々少なくなり、生活の苦しさが社会から見えなくなってしまうのです」

また、中高年女性が貧困に陥る要因として、賃金格差や年金格差の問題があるという。

「女性の場合、非正規雇用率が高いので国民年金しか加入してこなかった人が多いです。厚生年金に加入していてもほぼ昇給しないまま新卒の初任給レベルで働き、ふたを開けてみたら年金額が月10万円以下という人も少なくないのです。

近年はシングルマザーだと公営住宅に入りやすくなるなど、子供がいる女性への支援は手厚くなっていますが、子供がいない女性への支援は手薄だと言わざるを得ません」

今後は就職氷河期世代シングルの女性が貧困化
まるで結婚や出産をしてこなかった“ツケ”を払わされているような構図だ。

「今後は、結婚をせずキャリアも積めなかった就職氷河期世代シングルが貧困化すると懸念されています。だからこそ、年齢や既婚/非婚、子供の有無など属性で区切ることなく、すべての人を受け入れる包括的な支援が必要です」

子育て支援が注目される今こそ、男女の区別もなく、声を上げづらい人たちに目を向ける必要があるだろう。

https://news.yahoo.co.jp/articles/6cdb6c7eed5e93800218aee0b382848daa32a815