大丸心斎橋店と東京店が3割増収 3~5月期、都心・ターミナル店の回復鮮明
https://www.wwdjapan.com/articles/1592096

「中国抜き」でも百貨店免税売上げ急回復 地域で明暗も
https://www.sankei.com/article/20230226-TGMZRM7RMZO4LP6FTYY6PDIHEY/?outputType=amp



デパート大手・大丸松坂屋百貨店の一部の店舗で、本人確認が不十分だったり、転売目的が疑われたりして消費税の免税が認められない外国人に化粧品などを販売していたとして、東京国税局がおよそ3億9000万円の申告漏れを指摘し、およそ4億3000万円を追徴課税したことが関係者への取材で分かりました。

消費税には外国人旅行者などに土産物や日用品などを販売する場合、免税販売を認める制度がありますが、転売目的や購入者の本人確認が不十分な場合は認められません。

しかし、関係者によりますと、大丸松坂屋百貨店が運営し、大阪市にある「大丸心斎橋店」などで、本人確認が不十分なまま大量の化粧品を販売したり7年間の保存が義務づけられている購入者の誓約書が保管されていなかったりする不適切な事例が、東京国税局の税務調査で相次いで確認されたということです。

中には、購入時に提示されたパスポートの人物と実際の購入者が異なるにもかかわらず、特定の商品を1人で数十万円分、大量に免税で購入し、「転売目的」が疑われるケースもあったということです。

このため東京国税局は、大丸松坂屋百貨店に対し、去年2月までの2年間におよそ3億9000万円の申告漏れを指摘し、過少申告加算税を含め、およそ4億3000万円を追徴課税したということです。

外国人旅行者などへの免税制度をめぐっては、制度の不適切な運用があったとしてほかにもデパート大手などが追徴課税されるケースが相次いでいて東京国税局が都内のデパート各社に制度の適正な運用を要請するなど対策を強化しています。

NHKの取材に対し、大丸松坂屋百貨店は追徴課税を受けたことを認めた上で、「今回の税務調査での指摘を踏まえ、今後より一層、適切な免税処理に努めてまいります」とコメントしています。

国内の免税店数急増 10年前の約11倍

日本を訪れる外国人旅行者は、20年前には年間520万人余りでしたが、円安や東南アジアからのビザの発給要件の緩和などを背景に、10年前の2013年に初めて1000万人を突破し、新型コロナ前の2018年と2019年には3100万人を超えました。

これに伴い、百貨店などを含めた国内の免税店の数も急増していて、観光庁によりますと去年は5万2200店余りと、4600店余りだった10年前のおよそ11倍に増えています。

ことし3月に閣議決定された政府の観光戦略の基本計画では、訪日外国人旅行者の数を再来年の2025年度にコロナ禍前を上回る水準に回復させるとともに、免税店の利用拡大などを通じてできるだけ早い時期に年間5兆円のインバウンド消費を目指す方針を目標に掲げています。

一方、免税販売をめぐっては、訪日外国人旅行者が大阪市内の百貨店などで、高級ブランド品などを転売目的で大量に免税で購入し、横流ししていた疑いが去年、明らかになったほか、免税品を販売する店舗側も、制度の不適切な運用があったとして、大手デパートのそごう・西武や流通大手イオンのグループ会社、それにアメリカのIT大手アップルの日本法人などがこれまでに国税当局から追徴課税されています。
“罰則強化や免税の制度自体の見直し検討を”
相次ぐ問題を受けて専門家からは罰則の強化や、免税の制度自体の見直しを検討すべきだという声も出ています。

日本の免税制度は、外国人旅行者などが免税店で商品を購入する際、パスポートを提示するなどすれば消費税を支払わずに購入することができます。

一方、EUや韓国など一部の国では、店舗では免税せず、出国時に国外に持ち出す商品を確認した上で、消費税を還付する「リファンド方式」と呼ばれる制度が導入されているということです。

国税庁の元職員で租税や税務行政などに詳しい中央大学法科大学院の酒井克彦教授は「消費税の免税制度はインバウンド誘致のための制度と説明されることも多いが、このまま問題を放置すると世界各国から不正を許す国とみられ、日本全体のイメージダウンにもつながる。政府にはアクセルとブレーキを同時に踏むようなバランス感覚が求められる」と指摘しています。

その上で「問題が顕在化する中、議論を急ぐことが求められていて、中長期的には、リファンド方式の導入を視野に制裁や罰則の強化など打てる手から打っていく必要がある」と話しています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230629/k10014113181000.html