次世代練習機T-7A、初飛行成功 米空軍が351機発注

 ボーイングは現地時間6月28日、新規開発したジェット複座型練習機T-7A「レッドホーク」が初飛行したと発表した。
老朽化したT-38「タロン」の後継機で、2018年9月27日に米空軍がボーイングと締結した契約では、T-7Aを351機を調達するほか、シミュレーターなど46基の地上訓練設備を導入する。

 セントルイスで実施された初飛行は1時間3分。初飛行の成功により、T-7の開発作業はEMD(技術・製造開発)段階に入り、今回の初飛行では空軍で今後の試験などに使用する5機のEMD機のうちの1機を使用し、空軍とボーイングのパイロットが操縦して機体の主要部分を検証した。

 T-7Aは、T-Xとして開発が進められてきた単発練習機で、1959年に初飛行したノースロップ・グラマン(当時ノースロップ)T-38の後継機。F-22やF-35といった第5世代戦闘機のパイロット養成を主眼に置き新規開発した。
T-Xの飛行試験初号機は2016年12月20日に、2号機は2017年4月24日に初飛行し、2019年9月にT-7「レッドホーク」と命名された。

 エンジンは単発ながら双発のT-38Cと比べて推力が約3倍となり、近年の戦闘機と同じ垂直尾翼が2枚の「ツインテール」を採用して全高を抑えた。コックピットは教官が座る後席を前席よりやや高い位置に配した「スタジアムシーティング」とすることで視界を確保している。
地上とのデータリンクやキャノピーを横開きにするなど、T-38を使う教官の声を開発に反映し、製造コストを抑えた。

 T-7Aは設計や製造工程などにデジタル工学を導入しており、設計から初飛行に至るまでの時間を大幅に短縮。リスクシェアリング・パートナーとして、ボーイングはスウェーデンのサーブと契約した。
現在はボーイングのセントルイス工場で前部胴体、サーブのリンショーピン工場で後部胴体を製造しているが、サーブはインディアナ州ウエスト・ラファイエットに新設した工場で後部胴体を生産する。

 年内に最初の引き渡しが行われ、2024年までに初期運用能力、2034年までに完全な運用能力をそれぞれ獲得できる見込み。ボーイングは、日本を含む海外でのライセンス生産にも意欲を示している。

https://news.yahoo.co.jp/articles/5f2ab25cdb7e2425be49635f5f92a6a7919a772b