米連邦最高裁判所は29日、大学が入学希望者の人種を選考要素に含めるのは憲法に反するとの判断を下した。過去数十年続いた慣習が巻き戻され、米国の高等教育は新しい時代に入る。

判決は6-3で、保守派とリベラル派に分かれた。ハーバード大学とノースカロライナ大学の選考プログラムは、平等な権利を保障した憲法に反すると指摘。ロバーツ最高裁長官は判決文書で、両校が主張する多様性を確保するためという論拠を退けた。

「両校のプログラムは人種を考慮することを正当化する十分な焦点と測定可能な目標を欠いており、必然的に人種を否定的に用い、人種的ステレオタイプを関与させるほか、有意な終着点が欠落している」とロバーツ長官は説明。「このようなやり方での選考プログラムはかつて認めたことがなく、それはこれからも同様だ」と続けた。

今回の判決で、米国のトップ校では黒人とヒスパニックの学生が減る可能性があり、多くの大学が選考基準の見直しを迫られるとみられる。

ソトマイヨール、ケーガン、ジャクソン3判事は判決に反対した。ソトマイヨール判事は「最高裁はこの日、数十年続いた前例を覆し、表面的な人種無視のルールを米国に押しつけた」と、反対意見書の要約を読み上げる異例の行動に出た。「この決定がもたらす破壊的な影響は語り尽くせない」と論じた。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-06-29/RX0TDST0AFB401